Ozawa Tsuyoshi “J-ALERT”

gnabmelaP no gnidnecseD spoortaraP esenapaJ Japanese Paratroops Descending on Palembang, 2017, Oil on canvas 2019
145.5 x 227.3 cm (57.3 x 89.4 inch) Photo: Shizune Shiigi

Ozawa Tsuyoshi : J-ALERT

Date: Friday November 8 – Saturday December 21, 2019
Opening Reception:Friday November 8, 18:00-20:00
Hours: Tuesday-Saturday 12:00-19:00 (Closed on Mon, Sun, Public holidays)

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Photo by Keizo Kioku

PRESS RELEASE

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MISA SHIN GALLERYでは2019年11月8日(金)から12月21日(土)まで、小沢剛の個展「小沢剛:Jアラート」を開催します。

「Jアラートとは、弾道ミサイル攻撃や、緊急地震速報、津波警報など有事の際に、住民に迅速に情報を伝達する全国瞬時警報システムである。それに比べ、美術の伝達のスピードというのは、ゆっくりと広がっていくものである。ときには作品が作者の死後も存在をし続けることによって、幾世代にもわたって、人類に警鐘を鳴らし続けることもある。」 小沢 剛

「す下降にンバンレパ兵神神兵パレンバンに降下す」の元になっている《神兵パレンバンに降下す》は、1942年2月14日、オランダに統治されていた現インドネシアのパレンバン油田を、日本帝国陸軍・空挺部隊が、空からの落下傘降下による奇襲作戦で占領、勝利を収めた場面を記録した鶴田吾郎(1890-1969) の戦争画に着想を得て制作されました。この大勝利はおおいに喧伝され、「空の神兵」として軍歌や映画まで制作されました。小沢は日本軍の勇姿を描いたほとんどの戦争画が、銃口を向けている先に敵が描かれていないことに気づきます。小沢は《神兵パレンバンに降下す》を鏡面で模写することにより、銃口が自分自身に向き、他者に向けた銃口は、時間をかけてやがて己に向かってくることを示唆することを試みました。本作品シリーズは、2018年の千葉市美術館の個展で発表され、自身の手を使って戦争画という近代美術以降の最大の闇を辿ることを試みる小沢のライフワークのひとつでもあります。

高松次郎の唯一の写真シリーズ「写真の写真」に強く心を引かれていたという小沢は、「ポスターの写真」シリーズで、その手法をなぞります。小沢は、写真を撮影する代わりに、ある児童画のコンクールで入賞したポスターを模写します。そして、高松の写真同様、そのポスターに折り目を付けたり、しわを入れ、小学校のいろいろな場所に配置し、写真家の椎木静寧氏に撮影を依頼しました。ここで模写されたポスターは、文部科学省の主催で毎年行われていた原発を啓蒙するためのポスターコンクールからのもので、子供達への図工の授業を利用したプロパガンダに、美術教育の使われ方の負の側面をあぶり出し形に留めておこうと試みます。

美術は、作品として表現することで、時間の経過とともに、別の意味や解釈が加わることがあります。ゆっくりと思考のレイヤーを重ねて広がっていくことで、同じ過ちを繰り返さないための、現在あるいは未来に向かっての警告として、鑑賞者に注意を促しているようでもあります。

MISA SHIN GALLERYでは3年ぶりの個展「小沢剛:Jアラート」を、どうぞご高覧ください。

 

小沢 (おざわ つよし)

1965年東京生まれ。1991年東京藝術大学大学院美術研究科壁画専攻修了。世界各地に自作の地蔵を置き写真におさめた作品「地蔵建立」、牛乳箱を用いてアートを展示する超小型移動式ギャラリー「なすび画廊」、美術史の名画を醤油で模写する「醤油画資料館」、野菜で作られた武器を持つ女性のポートレイトのシリーズ「ベジタブル・ウェポン」などが代表作として知られています。主な個展に2004 年「同時に答えろYes とNo!」( 森美術館)、2009 年「透明ランナーは走りつづける」( 広島市現代美術館)、2012 年「小沢剛: あなたが誰かを好きなように、誰もが誰かを好き」( 福島県立美術館、豊田市美術館), 2018 年「小沢剛 不完全-パラレルな美術史」(千葉市美術館)、 を開催。2016年「さいたまトリエンナーレ 未来の発見!」や2017年「ヨコハマトリエンナーレ2017 島と星座とガラパゴス」などの芸術祭に参加。 また、中国人アーティストのチェン・シャオション、韓国人アーティストのギム・ホンソックとの、さまざまな境界を越えたコミュニケーションをテーマに活動しているアーティスト集団「西京人」での展示では、2016年「西京は西京ではない、ゆえに西京は西京である。」(金沢21 世紀美術館) 、2018年「Art and China after 1989: Theater of the World」(ソロモン R.グッゲンハイム美術館,ニューヨーク),(グッゲンハイム・ビルバオ,スペイン)などに参加している。

2019-11-05|
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